Driven Out 感想
2020年の心残りの一つDriven Outをクリアしたのでその感想
ぬるぬる動く2Dアクション
Driven Outは自身のコピーを作り出す謎のアイテムと剣を持った一人の女性を操り、 ステージごとに待ち受ける魔法使い、モンスター達を倒していく2Dアクションゲーム。 ジャンルとしてはいわゆる死にゲー。
特徴としては緻密に描かれたドットアニメーションとそのゲーム難易度。 プリンスオブペルシャから探索要素を抜いて戦闘に特化したようなゲームと言えるだろうか。
厳選されたアクション要素
このゲームではステージ制をとっており、ステージごとに何匹かのモブモンスターと最後にボスモンスターがいる。 ステージを攻略していくうえで主人公は次のアクションしかできない。
- 横移動
- 向きの反転
- 上中下段の攻撃
- 上中下段の防御
- セーブポイント設置
近年のゲームのように派手な魔法があるわけでもなく、超人的なアクションもない。それどころかジャンプすらできない。 ただゆっくり歩いて、防御と剣を振ることしかできない。道中で新しい能力を得るといった成長要素も一切ない。
主人公の攻撃はもっさりモーションなので、適当に剣をブンブン振ってもまず敵の攻撃が先にヒットしてこちらの攻撃が潰される形となる。 たとえうまくこちらの攻撃が当たったとしても、敵はのけざらないので確実に敵の反撃がこちらに当たってしまう。 主人公の体力よりも敵の体力のほうがはるかに多いので、何も考えずに攻撃を繰り返しても先にこちらがやられてしまうことになる。*1
このような理由によりプレイヤーがとれる戦略は
敵の攻撃をガードして反撃をする。
これだけである。*2
敵のモーションを見続ける観察ゲー
このゲームの攻撃は敵味方ともに上中下段の3種類に分かれおり、敵の攻撃をカードするには各攻撃に対応したガードボタンを押す必要がある。 つまり敵のモーションを見てどこに攻撃されるかを反射的に判断してきちんと対応したガードができるかが重要となる。
前述の通りこちらの攻撃は敵の攻撃をガードした後の反撃しか通らないため、 敵の攻撃パターンを見極めるか、攻撃に即時反応できるようにならない限りは絶対に敵は倒せない。
このように敵のモーションを見切らないかぎり敵に勝てない仕組み上、 プレイヤーは幾度も戦闘、死を繰り返して敵のモーションを覚えていく必要がある。
このゲームが死に覚えゲーと言われる所以である。
効率的な死に覚え
昔ながらのストロングスタイルな風味を強く残すこのゲームだが、 ユニークな点としてセーブポイントを任意のタイミングで自由につくれる点がある。
プレイヤーは1ステージ中に2個のセーブポイントを自由に設置できるのだが*3、 このセーブポイントが1つフィールドにおいてあると、死亡時に主人公がそこから完全復活してゲームをそのまま続行できる。
最終的に主人公が力尽きてステージをリトライする際にも、最後にセーブポイントから復活したタイミングからやり直すこともできる。 このセーブポイントをどのタイミングでどこに設置するかというのがゲーム攻略するうえで重要となる。
わかりやすい例でいうとボス手前で設置してボスの攻撃パターンを見切るためのリトライポイントとして設置したり、偶然うまく戦闘が進められた際に安全のために戦闘中にセーブポイントを設置したりといったことができる。*4
DrivenOutの良さ
ちょっとずつ上手くなる実感
これまでこのゲームの紹介を簡単にしてきたが、正直プレイヤー側には爽快感のある要素はほとんどない。 主人公はどんな攻撃でも3回うけるだけですぐ死ぬし、それでいて動きはもっさりしているのでキャラクターを動かすだけだと正直面白さはほとんどない。 他の死に覚えゲーと同様に端的に言えばマゾゲーに近いだろう。
こんなマゾゲーの何が面白いかというと プレイヤースキルの向上を感じれることが挙げられる。
このゲームでやることは言ってしまえば「敵のモーションを見て、ガード、そして反撃」ただこれだけなのだが、 敵のモーションを見極め、次第に攻撃をガードできるようになっていく工程に自身の成長を感じられるのがシンプルに面白い。
近年のゲームでいうとsekiro*5が思い出させてくれた高難易度アクションゲームのエッセンスがここにもあり、 敵の連続攻撃をすべてガードできた時はsekiroと同様に気持ち良い。
シンプルな要素で構成された敵との対話
アクションゲームの面白さの一つして「敵の動きをよく観察して対応する」という"敵との対話"*6とでも言うべき要素がある。 近年のゲームではガード、回避、遠距離攻撃、魔法と取れるアクションの選択肢を増やし、そこにキャラクター成長、装備、パッシブスキルなどの肉付けをして複雑に見せているが、 この敵の動きをみて対応するという部分がおろそかになって結局は何も考えずに無敵回避や高威力技でごり押しできてしまうようなゲームも多い。
"敵との対話"を無視しているようなこの手のゲームというのは爽快感はあるものの、しばらくすると作業になりがちで飽きやすく個人的にもそれほど好きにはならない。 その点でシンプルな要素のみで"敵との対話"を実現できたDrivenOutのようなデザインのゲームは非常に好感がもてる。
任意セーブと死に覚えの相性の良さ
Driven Outの個人的なもう一つの評価点として任意セーブポイントを設置できるシステムがある。 この手の死に覚えゲーでよくある不満点として、 特定の部分の練習をするために幾度もやり押す必要があるが、セーブポイントから目標のポイントまでの部分が冗長になりがちという点がある。
この問題の解決策として、強敵の直前にセーブポイントを配置しておくというのが一般的な対応だが、製作者側の思ったポイントが必ず適切な復帰ポイントになっているわけでもないため、 やり直す際の冗長さが必ずしも軽減できているとは言えない。
そもそもこのゲームだといわゆる雑魚敵ですら幾度も死ぬことになるので、 人によっては強敵の定義、つまりあるべき復帰ポイントがプレイヤーごとに違うことになる。
本作の任意セーブポイント設置の仕組みはこの問題をうまいバランスで解決している一つの好例といえる。 上手に復帰ポイントを選べば苦手な敵の練習を効率的に行えるので、死に覚えゲーにあった繰り返しによる冗長さを軽減できるようになっている。
総評
このゲームの個人的なGoodPointをまとめると以下の3つだろうか。
- 丁寧な2Dドットアニメーション
- 敵の対話があるアクション
- プレイヤースキルの成長を感じられる
難易度はそれなりに高く、初めのころは最初の雑魚一体にすら簡単に負けてしまうが 繰り返しプレイを続けて苦戦していた敵を倒せたときには大きな達成感がある。
ただし結局のところ死に覚えゲーなので、一方的に虐殺されることを繰り返すことになるので そもそも難しいゲームが嫌いな人や、2Dアクションゲームが苦手な人はまったくお勧めできない。
逆に高難易度ゲーや死にゲー好きな人だったらかなりお勧めなのでちょっと試しにやってみるとよい。 steamならプレイ時間2時間以内なら返金できるし、実際1時間もやれば好みに合っているかどうか十分にわかる。